FIPとは? FIP(猫伝染性腹膜炎)について FIPとは? FIP(猫伝染性腹膜炎)について FIPの発症と年齢の関係について FIP(猫伝染性腹膜炎)の発症には、猫がウイルスに初めて接触した時期――とくに子猫期の免疫の発達状況が大きく関係していると考えられています。猫コロナウイルス(FCoV)は、子猫が生後9~10週を迎える頃から排出され始めますが、実際にはその少し前から体内に入り始めていることが多いとされています。この時期はちょうど、子猫の免疫システムが発達途中にあるデリケートな時期で、体内に入ったウイルスがFIPを引き起こす変異(FIPV)を起こし、定着しやすくなるリスクがあります。実際、FIPの多くは生後16か月未満の若い猫に多く見られ、3〜5歳以上の猫ではまれで、FIPの感受性や抵抗力には「年齢」が大きく影響すると考えられています。 主な症状 FIPには、次の3つのタイプがあります。①ウェットタイプ(滲出性)②ドライタイプ(非滲出性)③混合タイプどのタイプも共通して、発熱、元気消失、食欲不振、体重減少などの症状が見られる他に、それぞれ次の特徴があります。①ウェットタイプ(滲出性)・生後6か月~2歳で発症・腹水や胸水がたまる・腹部の膨張・呼吸困難・急激に進行する②ドライタイプ(非滲出性)・2歳以上でも見られる・神経症状(ふらつき、けいれん、麻痺)・目の炎症(ぶどう膜炎)・黄疸・比較的ゆっくり進行する③混合タイプ・両方のタイプの症状が同時、または順番に現れるため、確定診断が難しい場合があるどのタイプも、早期の治療開始が予後を大きく左右しますので、元気がない、食欲がない等の様子が見られたら、早めに受診してください。 感染と発症のプロセス FIPは、猫コロナウイルス(FCoV)が体内で突然変異し、強毒化することで発症しますが、詳しい原因はまだ完全には解明されていません。免疫力の低下や、ストレスなどが引き金になって発症する、とも言われています。【感染と発症のプロセス】主に糞便やトイレを介して、FCoVに感染する↓感染した猫のほとんどは無症状か、軽い下痢ですむ↓一部の猫で、体内に入ったFCoVが突然変異を起こし、FIPウイルス(FIPV)に変異する↓変異後、FIPVは体内で激しい炎症反応を引き起こし、発症する※多頭飼育環境では感染が広がりやすいため、注意が必要です。 予防のポイント ①感染した猫を隔離する②免疫力を保つため、食事や生活環境を整える③多頭飼育の場合は、猫同士のストレスを減らす工夫を(トイレやベッドを多く設置する)④トイレをこまめに清掃し、定期的に消毒する⑤新しく迎えた猫は、FCoV抗体検査を実施し、隔離期間を設けて合流させる※当院では、FIPの原因となる猫コロナウイルスを死滅させる未承認薬も取扱っています。ご心配の方は、当院にご相談ください。